スキンキュアサポートのミカタ 独自視点で肌の治療や予防に関連するモノコトを切る

ヘパリン類似物質のミカタ

[スキンキュアサポートのミカタ]OPEN企画は、昨今King&Prince永瀬廉CMで話題の「ヘパリン類似物質のミカタ」です。。

分類

現在(2020年12月時点)、成分「ヘパリン類似物質」を含む製品は、❶医療用医薬品(医師の判断のもと処方される薬)、❷一般用医薬品[第2類医薬品](ドラッグストア等で購入できる薬)、❸医薬部外品(ドラッグストア等で購入でき、医薬品ではない)という3つの分類で発売されている。化粧品分類では発売されていない。

成分

成分「ヘパリン類似物質」の配合量(製品に含まれる成分の量%)は、上記3つの分類で異なる。
❶と❷は0.3%配合、❸は0.3%未満となっている(❸医薬部外品は、医薬品ではないため、医薬品と同量の配合はできない)。なお、❸の0.3%未満の正式な数値は開示されていない(化粧品、医薬部外品は配合量の掲載義務はない)。
また、とくに医薬部外品は化粧品同様に、成分以外の添加物(基剤他)の工夫にて使用感等の機能性も追求するため、配合成分数の多い製品もある。
ヘパリン類似物質の配合量:医療用医薬品0.3% = 一般用医薬品0.3% > 医薬部外品0.3%未満

広告・表示

法律において、各分類で広告(表現)できることが決められている。なお、広告とは一般の生活者に向けての広告を指す。❶医療用医薬品は広告できない。❷と❸は広告できる。広告とは製品名だけでなく、製品の説明内容も含まれる。多々あるが、大きな点として、❷一般用医薬品では「効く」や「治療」という効果面を打ち出せるが、❸医薬部外品では、決められた効能表現しかできない(医薬部外品はそもそも緩和な作用のある製品となっている)。例えば製品の説明として、❷一般用医薬品は「成分が皮膚の基底層まで届く」という表現ができるが、❸医薬部外品は化粧品と同じく「皮膚の角質層まで届く」という表現となる。(同じ成分でも分類によって広告表現が規制されているが、実際の皮膚への浸透とは異なる)
医療用医薬品および一般用医薬品は治療薬。医薬部外品は緩和な作用をもつケア製品。

製品パッケージをパッと見ても分類は分かりにくい。各分類における製品の一つ:左から❶医療用医薬品(ヒルドイド)❷一般用医薬品(ヒルマイルド)❸医薬部外品(ヒルドプレミアム)

価格

❶医療用医薬品は、先発医薬品および何種類かの後発医薬品(ジェネリック医薬品)からなり、公定価格(薬価)が決められている。2020年12月時点では、「ヘパリン類似物質製品」は21.6円/g~4.5円/gと製品よって価格は異なる。診察のうえ、ヘパリン類似物質が必要と判断された場合、ヘパリン類似物質製品100gを処方された際のトータル費用には、診察代、薬代、調剤代等がかかり、処方される医薬品により異なるが、3割負担の場合、患者さんが実際に支払うトータル代金は、初診(およそ2,000円~1,500円)、再診(およそ1,500円~1,000円)となる。あくまでヘパリン類似物質製品のみが処方された場合であり、その他の薬が処方された場合は代金は異なる。なお、医療用医薬品には治療方針および薬剤説明という専門家の言葉も得られることは忘れずに。正しく使用することはとても大事である。


病医院でお支払いする医療費領収書、処方せん、薬局でお支払いする領収書

❷一般用医薬品は、メーカーが希望小売価格を決定する。容量は各製品異なるが、見た目上の価格が購買決定に影響することが多い。販売価格としては50g1,000円(20円/g)くらいの製品が多い。ただし、ヘパリン類似物質の1成分の他にも他の成分を追加している製品もある。

❸医薬部外品もメーカーが希望小売価格を決定する。容量も各製品異なるが、一般用医薬品同様に見た目上の価格が購買決定に影響することが多い。販売価格としては一般用医薬品と同程度で50g1,000円(20円/g)くらいの製品が多い。こちらもヘパリン類似物質の1成分の他にも他の成分を追加している製品もある。なお、クリーム剤よりもローション剤の方が安価な傾向にある(13円/mlくらい)。
ヘパリン類似物質100gを使用するにあたり必要な費用:医療用医薬品(3割負担の場合)2,000円~1,500円≦一般用医薬品≒医薬部外品

製品

各分類における一部製品の『価格・成分・効能ほか比較一覧表』を参考までに示す。
▶︎ PDFはこちら(文字が小さいため拡大してご参照ください)

ミカタ

❷一般用医薬品と❸医薬部外品は、製品パッケージでは区別しづらい。何を目的としてその製品が必要なのか?治療を求めるのであれば一般用医薬品を選択すべきであるが、肌トラブルの方は、先ずは、適切な病医院にて医師による診断のもと、通院が必要であるか決めることが、時間も費用もメリットがある。例えば、アトピー性皮膚炎の治療において処方されることが多い医療用医薬品のヘパリン類似物質は、他の医薬品と一緒に処方されることが多く、決してヘパリン類似物質のみで、アトピー性皮膚炎が良くなるわけではない。さらに使用量や塗り方も治療効果に影響を与えるため、指導をしてくれることが多い。一方、ドラッグストアで購入した一般用医薬品は、使い方も含めて自身での適切な対処を必要とする。なお、アトピー性皮膚炎に効能をもつ一般用医薬品は存在しない。肌トラブルを治すことが目的であり、ヘパリン類似物質はそのための手段の一つであることは忘れずに。もちろん、保湿することは治療中において大きなサポートとなり、日常のケアとしても重要である。医薬部外品や化粧品を日常のスキンケアとして使用することは大切であり、そのためにも使用する製品はサンプル等で自身の肌に合う使い続けられる製品を選ぶことが重要である。
つまり、製品以前に、自分の肌状態の理解とその対処法を知ることがまず始めに重要となる。肌トラブルを起こさない、またトラブルが起きた時の対処方法も含めて、ご自身の日常のケア方法を身につけてほしい。とくに肌トラブルもなく、色々なブランドを楽しみたい方は、ヘパリン類似物質の成分に限らず、ご自身の肌にあう医薬部外品・化粧品を楽しんでいただきたい。

マーケットのミカタ

ヘパリン類似物質は、保湿効果はもとより、医療用医薬品「ヒルドイド」としての知名度もたかい。ここ数年で、ヘパリン類似物質を成分とする一般用医薬品と医薬部外品が数多く発売されている。治療薬かスキンケア製品か混同されるところもあり、メーカーもその混同を狙っている感もある。適切な通院治療、セルフメディケーションおよび正しいスキンケアの浸透に向けて、誰(どんな肌状態)のための製品であるのかを示し、適切な情報発信とともに、保湿の新たな選択肢として新市場構築を望む。
2020年9月には、カルテヒルドイドという医薬部外品が発売されたが、医療用医薬品ヒルドイドと誤認される恐れがあるとのことで(11/6ニュースリリースより)、ヒルドイドの記載を削除してカルテのみの名称となった。ブランド力も手伝って生活者へのスキンケアの浸透を図るチャンスでもあったが残念である。医療用医薬品としてのヘパリン類似物質の役割、医療費も考慮したセルフメディケーション発展としての一般用医薬品のヘパリン類似物質の役割、および日常のスキンケアを目的としての医薬部外品のヘパリン類似物質としての役割を視座高く俯瞰的に捉えて説明し、医療関係者にも協力いただき、生活者のために新たな価値を提供してほしい。

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