SPECIALIST COLUMN 医師ら専門家のスキンケア指導方法

乳幼児のスキンケア

<乳幼児の皮膚の特徴>

生まれる前の子宮のなかでは、無菌状態で胎脂と羊水に守られていますが、出産と同時に乾燥した空気と様々な刺激にさらされます。その最前線でバリアーとして身体を守っているのが皮膚です。ただし、そのバリアー機能が未熟なため、環境適応して成長していく過程で、様々な生理的皮膚変化を生じます。
皮膚のバリアー機能で重要な役割をしているのは最外層の角層です。発達した角層表面は皮脂や汗の分泌により抗菌作用を保持し、角層を形成している角質細胞間には天然保湿因子がつくられ、その保湿作用により外部からの刺激を緩衝しています。乳児の角層は成人の3分の1位の厚さしかなく、汗腺の未発達、角質細胞間の天然保湿因子の生成も未熟な状態です。

<乳幼児のスキンケアの必要性>

新生児期は胎脂や母体からのホルモンの影響で皮脂分泌が一過性に増えますが、生後2~3ヶ月になると、皮脂量も急激減り、皮膚の乾燥が目立ってきます。乾燥した皮膚は外部からの刺激を受け取りやすくなり、それに対応して皮膚炎を生じやすくなります。季節によっては一過性の皮膚炎で自然治癒することもありますが、秋から冬にかけては乳児湿疹として治療が必要となることもあります。生後2~3ヶ月時の皮膚炎が治りにくく、範囲も拡大していくと、皮膚から色んな抗原を認識して、食物アレルギーの合併症を生じてしまう可能性が高まります。乳児湿疹や食物アレルギーの予防をするためにも、保湿剤を中心としたスキンケアは必要です。

<乳幼児のスキンケアの実際>
➀洗浄

ガーゼやスポンジはできるだけ使用せず、洗浄剤を泡立て、手で優しく洗ってあげて下さい。カサつきや赤みが気になる部位は洗浄剤の連日使用は避けて、お湯だけで流す日も作りましょう。お湯だけでも最低限の汚れは落ちます。お湯の温度は40度以下、シャワーを使用するときは水圧を下げてあげて下さい。皮膚を労ることが自然治癒力を高めます。

②保湿剤

赤みや、ジュクつきがない軽度のカサつきの場合、沐浴後や入浴後にベビー用の保湿剤を全身に塗布して下さい。保護者の手のひらにタップリつけて、または、乳児の皮膚に点在させて、マッサージするように優しく伸ばして下さい。外用後カサつきが安定してきたら、日に最低2回の使用を継続して下さい。外用後かえってあかみが生じたり、カサつきが安定しないときは保湿剤が刺激になっている可能性があります。保護剤のワセリンは刺激が少なく使用しやすいのですが、夏季などは厚く塗るとかえって熱がこもり、ムズムズすることがあります。乳児のかゆみの神経は未熟ですが、泣いた時など、ムズムズした部位を擦ってしまい、皮膚炎を生じてしまうこともあります。保湿剤が合わない時や、皮膚炎が生じた時は皮膚科専門医に早めにご相談下さい。

八代 典子 先生この記事を書いた人

1982年 大阪府立北野高校卒業
1988年 大阪市立大学(現 大阪公立大学)医学部 卒業
1988年~1999年 大阪市立大学医学部皮膚科学教室、大阪市立北市民病院に勤務
1999年~やしろ皮膚科 開業
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