SPECIALIST COLUMN 医師ら専門家のスキンケア指導方法

こどもの皮膚治療の実際 ― ご家族×医師×看護師のチームワークがポイント ―

はじめに当クリニックの環境をお伝えします。 当院は外国人が多いという地域特異性があり、最近では特にベトナム人、中国人が増加しています。ゆえに、言葉での説明やパンフレットで説明しても、うまくいかない場合があります。
また、他院でお薬を処方されて、当院に来院される患者さんのなかには、処方されたお薬の使用量がかなり少ない方や使用方法が正しくない方、使用法の説明を受けておられない方がおられます。 そのような環境において、とくに塗り薬の使い方をわかりやすく、適切に使用してもらうことは大切なポイントになります。

それでは、実際の現場をご紹介していきましょう。

●「百聞は一見にしかず」で実際に診察の場で塗ってあげます。
そのメリットは以下に示すようにたくさんあります。
・実際にどのくらいの使用量が必要かわかる
・残っているお薬を持参いただくことで必要量がわかる
・きれいな皮膚を見てもらうことでご家族にも治療意欲がわく
・ステロイド減量のギリギリラインをご家族が把握できる

●目標は1か月以内に湿疹の鎮静化とします。特に治療開始の1週間は重要です。
最初に必要部位、場合によっては全身にステ ロイド外用剤を塗ります。可能ならば自宅でシャワーを浴びてきてもらいます。ベビーならば院内で沐浴する場合もあります。
手の平2枚ほどの広さには、1FTU(大人の人差し指の先端から第一関節までチューブ から絞り出した量=約0.5g)が必要だよと看護師が丁寧に説明しながら、治療が必要な部位に塗ってあげます。こうすることで適切な使用量がわかります。
最初の1週間は1日2回使用し、そして1週間後に再診に来てもらいます。その際に残っているお薬を持ってきてもらい、使用量を確認します。
皮膚がきれいになっていたら、減量を開始します。この時点で「わが子の肌はきれいになるのだ」と実感するご家族が多いです。治療開始2週目は1日1回夜にステロイド剤、1日1回朝に保湿剤を塗布し、ステロイドの減量を開始します。
3週目以降は週ごとにステロイド剤の減量を指示します。3週目は2日に1回夜、4週目は3日に1回夜、5週目は4日に1回夜・・・。保湿剤は毎朝とステロイドを塗らない夜。 なお、あらかじめ減量中に悪化する可能性があることを説明しておきます。悪化したら前段階に戻すように説明しておきます。また、これ以上減量できないラインがあることも説明しておきます。ご家族はステロイドが何日空くと湿疹が出てくるのかわかるようになります。
1か月に1回受診してもらい、1か月間の必要量を処方します。この段階になると医師よりもご家族が必要量を把握できているので適切な処方ができます。ステロイドの作用の強さもmildレベル(ステロイドは作用の強さによって5段階に分類されており、mildは下から2番目のランク)で十分対応が可能です。 このように、ご家族×医師×看護師のチームワークが大切です。みんな治療チームの一員です。そのなかでも、いつもお子さんの身近にいるご家族に、治療の要になってもらうことが重要だと思っております。

中村 美奈子 先生この記事を書いた人

平成10年 関西医科大学卒業
大学附属病院助手、三重県内の病院、大阪府内の病院に勤務
平成21年 浦岡小児科常勤医
平成28年3月 病児保育室「ぼちぼち」開設
令和4年4月 浦岡小児科院長
令和5年9月 深江こどもクリニック院長
日本小児科学会専門医、日本アレルギー学会専門医(小児科)、日本小児心身医学会認定医、保育士

子どもたちが健やかに育つようご家族と一緒に見守り、子どもたちの不利益にならぬよう診療に励んでおります。

詳細はこちら

スキンキュアサポートサービスは、記事の情報及びこの情報を用いて行う利用者の判断について、責任を負うものではありません。
この記事の情報を用いて行う行動に関する判断・決定は、利用者ご自身の責任において行っていただきますようお願いいたします。