SPECIALIST COLUMN 医師ら専門家のスキンケア指導方法

コロナ禍における肌トラブル

コロナ禍における、生活習慣の変化に伴い、何らかの肌トラブルを抱えた患者さんが多数来院されています。
具体的にはニキビの悪化、口回りの乾燥、肌荒れ、肝斑の悪化などです。

原因
『ニキビの悪化
マスク内の皮膚温が1度上がると、皮脂分泌は10%増加すると言われています。しかも、それはマスク内のみならず、額などのマスクに覆われていない部分にも起こります。その結果、皮脂分泌増加による毛穴の閉塞、常細菌叢の乱れによりニキビの悪化を来すと考えられます。
『口回りの乾燥
マスク内は高温多湿の状態です。その結果TEWL(経表皮水分蒸散量)が増え、実は皮膚は乾燥の方向に傾いているのです。20代以降のニキビは口回り、顎回りにできることが多く、その多くは乾燥やストレスに起因すると言われています。
『肌荒れ
乾燥に加え、不織布による摩擦が加わります。さらに皮脂分泌の増加、常細菌叢の乱れ、汗によるpHの上昇も加わり、脂漏性湿疹などの肌荒れを来します。
『肝斑の悪化
肝斑の悪化は外的要因、内的要因様々ありますが、マスクによる摩擦や肌荒れによる慢性炎症の継続も大きな要因と考えられます。

対策
『スキンケア』 ①洗う ②補う ③守る   
 ①洗う:化粧品は落としやすいものを使用し、洗顔時にできるだけ摩擦が入らないようにします。少ない量のクレンジング剤やふき取りシートは摩擦を強め肌を痛める原因となります。洗顔はたっぷりの泡で手が肌に触れないように行います。
 ②補うセラミド入りの化粧品を使用し、肌質に合った適度な保湿を行います。ニキビのある方は油分の多い化粧品(クリーム)はさけ、化粧水、乳液までにとどめましょう。ノンコメドジェニックテスト済みのものを使います。
 ③守る:肌老化の80%は紫外線にあるとされ、紫外線はニキビの悪化にもつながりますので、必ずUVケアを行いましょう。顔全体で、クリームタイプの場合、パール粒2個分、乳液タイプの場合、1円玉2個分の塗布量が推奨されています。(敏感肌の方はノンケミカルのものを選びます)

『ニキビ対策』
①クリニックで処方されるBPO/アダパレン外用製剤
②外用抗菌薬
③内服薬(抗菌薬/漢方薬/ビタミン剤)
④生活習慣の見直し(十分な睡眠と適度な保湿)

『マスクの見直し』
ウイルス感染対策予防の観点からは不織布のマスクが推奨されます。しかしながら、不織布は表面の繊維による肌への刺激・摩擦が加わりやすく、またマスク内部が高湿度になりがちです。
スキンケアの観点からはシルクや綿のマスクが推奨されますが、不織布の中にそれらの素材を一枚挟むだけでも効果が認められます。

弓削 俊彦 先生この記事を書いた人

長崎大学附属病院、愛媛県立中央病院、北九州総合病院、長崎労災病院、松江赤十字病院、大分中村病院、 宮崎江南病院、海老原総合病院形成外科部長、大手美容外科皮膚科非常勤を経て、令和3年2月ゆげクリニック開院。
日本形成外科専門医 日本熱傷学会専門医
形成外科は、体表面すべての機能的または審美的疾患を治療の対象としています。体表面の疾患や不具合・悩みに対して外科的アプローチを得意とする科といえばわかりやすいでしょうか。さらに美容形成も形成外科が得意とする分野の一つです。美容形成にもさまざまな種類がありますが、専門的知識や経験に基づいた技術をもってこそ予期せぬトラブルに遭遇した場合、適切に対応できるのです。施術を受けられる際にはかならずドクターの経歴を確認することをお勧めします。

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