SPECIALIST COLUMN 医師ら専門家のスキンケア指導方法

医師が薦めるスキンケア指導

スキンケアは、ご存じのように、洗顔・保湿・遮光が基本になります。
1.洗浄について
皮膚疾患治療中は、刺激の弱い石鹸で丁寧に洗顔することが重要です。当院では、初診の患者さんに必ず、洗顔指導をしております。必要な保湿成分(天然保湿成分・角質細胞間脂質)を流出させず、熱すぎないぬるま湯で、手のひらをさかさまにしても落ちないくらいのしっかりした泡を作り(写真1.2)、泡を転がすように、丁寧な洗顔を心がけるようお勧めしています。特にニキビ治療を始める患者さんには、洗顔ネット(写真3)を使用し、速く効率的に洗えるよう、また、必用ならば、泡立て洗顔指導までしております。乾燥肌、敏感肌、脆弱肌の方、あるいは、かぶれの症状が強い場合は、洗い過ぎないこと、あるいは場合によっては、洗わないことが必要なことがあります。

写真1

写真2

写真3

2.保湿について
エアコンが効いた室内では、皮膚は常に乾燥にさらされています。加齢とともにも乾燥症状が強く出ますので、洗った後は、皮膚を保湿して、バリア機能を良い状態に保つ必要があります。また、ニキビの治療では、2008年以降、面皰改善薬を使った治療が主流になってきています。毛穴のつまりを取る、角質剥離作用などにより、皮がむけたり、赤くなったり、痛くなったり、かゆみがでたりなどの副作用が出ますので、患者さんの肌質により、保湿対策を考慮する必要がある場合があります。

3.遮光について
また、皮膚の老化は、2割が加齢による老化、8割が光老化によるといわれています。光老化とは、長時間日光に当たることによって生じる慢性の皮膚障害であるとされています。光老化は、シワ、シミ、たるみを引き起こすだけでなく、皮膚癌のリスクも上昇させます。皮膚を健常に保ち、老化させないためにも、遮光、すなわち、安全でしっかりした日焼け止めを毎日塗る習慣を持つことが重要です。特にUVAは、ガラスを透過し、真皮まで届いて、線維芽細胞を変性させ、シワ、たるみの原因になるため、当院では、UVAをブロックするPA表示が+++以上のものをお勧めしています。特に、敏感肌、アトピー性皮膚炎などの方には、紫外線散乱剤が主成分のノンケミカル、無機系の日焼け止めが、光安定性が高くお勧めです。紫外線散乱座は、白浮きしすいのが欠点でしたが、最近では微粒子化されて、白浮きなどの欠点が改善されてきており、使いやすくなってきています。また、一度に使う量は、顔全体で、クリームタイプでパール粒2個分、乳液タイプで1円玉2個分が推奨されています。脱毛レーザー、シミレーザー、美容レーザーやケミカルピーリングの後も必ず、アフターケアとして、長期で日焼け止めを使っていただくことをお勧めしています。また、日焼け止めは汗で流れてしまうことも多く、2~3時間置きの塗りなおしが推奨されています。実際には、メイク後の日焼け止めの塗りなおしは、難しいので、日焼けしやすい鼻から頬骨周囲を日焼け止め指数の入ったパウダーやファンデーションなどで抑えてカバーしていただくことも有効です。

当院では、ひとりひとりの患者さんの肌質に合ったスキンケアを提案しております。人生100年時代を迎え、少しでも若々しく美しい肌を保ちながら年を重ねていけますよう、かかりつけの皮膚科で、オーダーメイドのケアを一緒に見つけてみませんか。

 

許 郁江 先生この記事を書いた人

医学博士・日本皮膚科学会認定皮膚科専門医

韓国ソウル大学医学部卒業
岡山大学医学部皮膚科にて研修後、
米国ハーバード大学医学部皮膚科留学
International Training Program for Dermatology修了
興生総合病院皮膚科医長を経て
H.19年4月3日より、ほう皮フ科クリニック開設

*英語・韓国語での診療も歓迎いたします。
女医。親切・丁寧に診察いたします。

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